最近観た映画『バケモノの子』

細田守監督のアニメ『バケモノの子』を観た。日テレで過去の作品(『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など)をやっていて観たのと、渋谷の『バケモノの子』展に行ったので、映画館で観たいなと思っていた。

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この映画を一言でいうと

人間の街「渋谷」には、バケモノの住む異次元世界「渋天街」への入り口が隠されている。ひょんなことからその入り口に入り込んでしまった少年が、バケモノの世界で武術に秀でた熊徹というバケモノの弟子となり、自分のアイデンティティーを確立していく話。

こんな人におすすめ

今の自分は、本当の自分じゃないという気がしている人。現在の自分の境遇に、生きづらさを感じている人。

個人的感想

この映画はモラトリアム期を模索しながら生きる若者たちに向けた応援歌だなーと思えるくらいには、私も年をとった。

つまり、自分は年齢で区切ったクラスターで言うと、ドンズバのターゲットではないことは理解している。

にもかかわらず、グッとくるこの感じ。

できれば、この作品をドンズバのターゲット時に観たかったなあと思う。いま、青春真っ只中の諸君、あなたはラッキーだと思います。とはいえ、細田監督が若者に向けて放った矢が、自分にもまだ刺さったことが嬉しい。

細かいツッコミは置いておいて、監督の意図したものを、そのまんま、まるっと受け取れることに喜びを感じた映画だった。

それにしても、白い毛玉みたいなチコという生き物が何だったのか、気になる…。本編中に、この生き物が何なのか説明があるかと思ったら、ないまま終わっていた。
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最近観た映画『ジュラシック・ワールド』

溜めてた映画感想文第6弾。
だんだん感想文がいい加減になってきたのが自分でもよくわかる。やっぱり観て1日経った時が、内容も咀嚼できて、余韻も残ってて、なおかつ内容を覚えているという点でベストですね。溜めちゃいけないな。夏休みの宿題と一緒だ。

ここ最近は夏休みの大作映画を観ていますが、『ジュラシックワールド』を観ました。『ジュラシックパーク』は遥か昔に観たことを記憶している、くらい。

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この映画を一言でいうと

遺伝子工学により現代に蘇った恐竜を活用して作ったアミューズメントパークで、恐竜が想定外の暴走をしてパニックになるというお話。今回は前回の反省を活かし、より安全で、でも発達したテクノロジーにより、現実には存在しなかったより獰猛で攻撃力の高い恐竜を作ってパークの目玉にしようという“死亡フラグ”満載なプロジェクトが根底にあります。そして中で逃げ惑う人間たちも、「志村、うしろ!」的な行動を次から次へと前のめりにとる姿は、もはや形式美と言っても過言ではありません(褒めてます)。

こんな人におすすめ

この夏のイベントムービーとしては、一番おすすめかも。アトラクションとして楽しむのには最適です。恐竜の映像技術と、ハラハラする展開(だいぶ先は読めるけど、それでも)で、映画館を「あー、ドキドキしたー!」とスカッとしながら出てくるのには最適の映画でした(褒めてます)。

個人的感想

この映画シリーズは、音楽がいいなーと思った。インディ・ジョーンズや、ミッション:インポッシブル、あるいはパイレーツ・オブ・カリビアンみたいに、曲を聴いただけで「あ、これは!」と思うのと同時に何だかテンションが上がってしまうテーマ曲というのはあって、このシリーズのテーマソングも、誰もが聞いたら「あ、これ知ってる!」と思うとても有名な曲なので、そういう点はハリウッドのエンターテイメントってすごいなあと思う。

ストーリーとは直接関係ないけど、前回のジュラシックパークの失敗で「想定外」の大惨事が起きているにもかかわらず、売り上げのためにまた自然を操作して人間の快楽を追求した同じような施設を作っちゃうところが、懲りないなぁと思うと同時に、日本もだいぶ似たようなことやってるなぁと思う。

それを肯定も否定もするつもりはないけど、何だろう、自然を服従させて自分の思う通りに動かしたいという欲求は人類普遍のものなんだろうか?原発の場合は自然をねじふせて優越感に浸りたいというよりは、明らかに利権絡みのモチベーションが最大の要因だと思うけど。私個人的にはそんなの絶対無理だと思う。人間の種としての「俺たちは不可能をも可能にできるんだ!」っていう可能性を信じたいのかな?

人間の考えることってよくわからないなー。私も、生物学的には人間のはずなんだけどなー。

映画とは関係ない感想になってしまったけど、本編自体は何も考えずに楽しめます。

最近観た映画『ミッション:インポッシブル/ ローグ・ネイション』

溜めてた映画感想文第5弾。

ミッション:インポッシブル シリーズをちゃんと観たことがないことに気づいた。でも、前作を観てなくても、全然大丈夫でした。
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この作品を一言でいうと

IMFの敏腕エージェント、イーサン・ハントをトム・クルーズが演じ、謎の多国籍組織シンジケートの真の目的を追う、スリル満載のアクション映画。

こんな人におすすめ

あんまり映画館に映画を観に行かない人も、これはおっきなスクリーンで観て欲しいです。

個人的感想

興奮しっぱなしの132分でした。監督のクリストファー・マッカリーは『ユージュアル・サスペクツ』の脚本書いた人で、ここ最近はトム・クルーズの主演作品をいくつも手がけているみたいです。

ストーリーも、すべての伏線を回収して、最後にきちんとカタルシスを感じられる作りになっていて、安心して観られました。

個人的にはサイモン・ペグが大好きなので彼を楽しみに観に行ったのですが、トム・クルーズのかっこよさにやられました。ただただカッコつけてるイケメン俳優というイメージしかなかったけど、予告編でやってた飛行機にぶら下がるシーンとか、水に飛び込むシーンとか、アクションにものすごくストイックに真摯に取り組んでいるのが伝わってきて、結構きゅんときてしまいました。

もちろん、サイモン・ペグは期待どおりの安定のクオリティで大満足でした。

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この夏もし一本だけ映画を観るならこれかな?という正統派の夏休み映画でした。

最近観た映画『進撃の巨人』

溜めてた映画感想文第4弾。

進撃の巨人』を観ました。私は原作を途中までしか読んでないのですが読み始めの衝撃(人間が捕食されるシーン)がすごかったので、それがどんな風に映像化されるんだろうと、ちょっと期待していました。

この映画を一言でいうと

大人気漫画「進撃の巨人」の実写映画化作品。

こんな人におすすめ

正直、「進撃の巨人」を読んだことない人の方がオススメできそうな気がします。初期設定も丁寧に説明されているし、原作を読んでないからついていけないというのはないです。

個人的感想

好みじゃなかった。
原作の「進撃の巨人」もめっちゃ好みというわけではなかったけど、設定が面白くてその勢いだけで読み進めていた感があるけど、映画はその辺がどう料理されているかに興味があったんだけど、基本的な方向性としては漫画と同じだった。

ただ、映画で「気に入らない」と思ったのは、漫画と違う点で、それは

の2点でした。
なんだか全然戦わずに怯えたり逃げたりするだけの仲間たちにフラストレーションがたまって(これは原作も確か最初の方はそうだったと思う。だから原作に忠実と言えるかも)、後編でこのフラストレーションが解消されて、カタルシスを感じられるのだろうかが不安。

桜庭ななみ石原さとみの演技については、桜庭ななみはなんだか不自然な吐息がイラっとくるのと、テンションの高すぎる石原さとみの演技がどうも好きになれない。これは個人的好みだからなんとも言えない。

後編を観たいかと訊かれると、優先順位は低いなぁ。
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最近観た映画『ルンタ』

池谷薫監督最新作『ルンタ』 オフィシャルサイト
溜めていた映画の感想文第3弾。
チベットには前から関心があって、映画やってると聞いてどうしても観たかったのです。行ったことのない国。吸ったことのない空気。ニュースで漏れ聞くだけの、ダライ・ラマ法王のインド亡命と、中国のチベットへの宗教と文化的弾圧。

映画を通じてそれらを垣間見られたらいいな、と思いました。題名の『ルンタ』はチベット語で風の馬という意味だそうです。チベットの人たちは、丘や山の上にのぼると、幸せを祈って馬の絵が印刷された色とりどりのハンカチ大の紙を、風にのせてばら撒くのだそうです。
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この映画を一言でいうと

中国政府による宗教弾圧、民族に対する圧政に抗議して、焼身自殺を図るチベット人たちの様子を追うドキュメンタリー映画。

こんな人におすすめ

チベットの風景が好きな人。多様な民族文化、特に仏教やチベットに関心のある人。

個人的感想

チベットの広大な自然風景はあくまで美しく、そこに生きる人たちの太陽に照らされた瞳の輝きのまっすぐさが印象に残ります。一方で、この美しい大地で真摯に生きる人たちの自由と文化が奪われた悲しい現実も厳然としてあるのです。

更に悲しいのは、受け入れがたい現状に対して異を唱えるチベット人たちの意思表示が、焼身自殺であることです。

20歳にもならない女学生が、または若い僧侶が、自分たちの言語や民族文化を奪われたくない、ダライ・ラマチベットに帰してほしい、その主張をするために死を選ぶ。「利他」と「慈悲」を尊ぶチベット人にとって、焼身自殺は他人に被害を与えないなかで最もセンセーショナルな抗議方法だからなのだと思います。

一点不思議だったこと。この映画は日本人スタッフによる作品で、インタビュー以外は全編日本語でした。

本編中、チベット文化に感銘を受け、今も現地で迫害されるチベットの人たちの雇用サポートとしてレストランを作ったり、チベットの現状をSNSチベットNOWというブログを更新しておられます。チベットNOW@ルンタ - ライブドアブログ)などで発信している中原一博さんという日本人男性が、ナビゲーター的な立ち位置で登場され、チベットにおける焼身自殺の現状を解説されます。

この方が何故、チベットに住む人々の苦悩にシンクロし、支援の手を差し伸べ続けているのかについて、本編中で説明はあるものの、途中、突然中原氏の日本の実家(普段は空き家で、いま売りに出しているそうな)が出てきて、一時帰国した中原氏が実家で日本食を食べ、寛ぐシーンが出てきました。このシーン、なんか意味があるのかな?「チベットの現状に精通した日本人がガイドする今のチベットの実態」についての映画だと思っていたけど、これが入ると一気に焦点が「チベット文化に並々ならぬ愛情を注ぐ日本人、中原氏」のPVみたいに見えちゃう。

そこがどうしても意図がくみとれなくて、咀嚼しきれない感は残ったものの、知らなかったことや見たことのなかった風景や聞いたことのない言語の音を聞いて、生きたことのないチベットの人々の人生を垣間見ることができたのは、自分にとってとても意義深いものでした。

それにしても、何故抗議の方法として、焼身自殺を選ぶのだろう…誰かに何かを伝える、という方法論において、それ以外に選択肢はなかったのかな。例えば、国外に出て、枠の外からその実情を海外メディアに訴えるとかできないのかな。経済的な問題が阻害要因となっているのだろうか…。

もし自分がチベットに生まれ育った人間だとしたら、今と同じような思考回路を持つとは限らないけれど、今の私には、「チベットに自由を」「ダライ・ラマ法王をチベットに」と叫びながら炎に巻かれて亡くなっていくまっすぐな瞳を持つ人たちのさまを想像するだけで、大量に切なくなる。

私には何ができるんだろうともどかしくなるけれど、知らなかったことを知ることもひとつの前進だと信じて、この映画を観られたことに感謝。

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ちょっと前に観た映画『ターミネーター:新起動/ジェネシス』

溜めてた映画の感想文第2弾。
ターミネーター最新作を観ました。私の場合、シリーズ物って全作観てない作品が殆どなんだけど、ターミネーターは何故か全部観ています。たまたま人に誘われて、とかで、ターミネーターファンではないんだけど、1から4まで何故か観ていますし、テレビシリーズの「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」も観ています。でも、正直3と4は内容を一つも覚えてないです。時流に乗った勢いで観た感じ。
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この映画を一言でいうと

みんな知ってるターミネーターのキーワードは「シュワちゃんが人間型のロボットに扮して闘いまくる映画」だと思います。まさにそのまんまです。もちろん、実在のアーノルド・シュワルツェネッガー氏は生きているので、時には抗えず、老化します。老化した2015年現在の姿のまま、どうターミネーターを演じるのか?も見どころの一つです。(その説明がさらっとされた時は笑ってしまいました)
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こんな人におすすめ

ターミネーターとは何か?という概要おさらいに尺の多くの部分を割いているので、今までターミネーターを観たことない!というブランニューな方もすんなり入っていける内容です。

加えて、ターミネーターシリーズに出てくるキーワード、名セリフ、名シーンが随所に散りばめられ、知ってる人はニヤリとする場面もチラホラ。往年の『ターミネーター』シリーズをこよなく愛するファンの方にもご満足いただける中身になっていると私は思います。

個人的感想

人間が発明した人工知能により出現したターミネーターたちが、人間を恐怖支配する未来の時代。そこでターミネーターと生き残りをかけて戦う人間たちにより構成されるレジスタンスのリーダー、ジョン・コナーと、その母親サラ・コナーが力をつける前の弱い過去の時代にタイムスリップして、彼らを殺してしまえばレジスタンスも存在しなかったことになり、ターミネーター側の勝利となる、というのがターミネーターの目的でありストーリーの骨子です。

最新作はこの骨子を根底から覆す新しさと、長く続くターミネーターフランチャイズへの敬意がとても良いバランスで共存する、ナイスな映画だったと思います。

何より私がいいなと思ったのは、本編の随所にターミネーター愛が感じられることです。作り手が楽しみながら、愛情を込めて作っているのがわかる映画は本当に観ていて楽しいし気持ちいい。

パート3や4では物議を醸した本作の行く末ですが、5作目で見事に蘇った気がします。

個人的には、シュワちゃん

“I'll be back.”

と決めゼリフを言った時の字幕が、

“アイルビーバック”

とカタカナ表記だったことにグッときました。そうだよねー、もうアイルビーバックは何語であっても、アイルビーバック以外に翻訳できないよね。

残念な配給会社だと、過去のシリーズの積み重ねを丸無視して、普通に「また会おう」とか直訳しちゃったりしそうだなと思ったので、日本配給側のターミネーター愛も感じられる、とてもいい字幕だなと思います。



ちょっと前観た映画『インサイド・ヘッド』

映画の感想文書くのをだいぶ溜めている。『インサイド・ヘッド』を観たのは大分前だ。一カ月くらい前かな。

この映画を一言でいうと

ピクサー最新作!人間の頭の中に住んでいる、喜びや悲しみなどの感情を司るキャラクターが、様々な活躍をすることで主人公の成長を促すさまを描く。
(うーん。なんか面白そうじゃないなー。コピーライターにはなれないな)
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こんな人におすすめ

ピクサー映画ファンの方にはすべからくおすすめですが、それ以外にもおすすめするクラスターがあり、それは子供を持つお父さんやお母さん。赤ちゃんから幼児へ、幼児から児童へ、児童からティーンへ。自分の子供の成長を見守る折々で、「何でこの子はこんなに喜んで(悲しんで/怒って/怯えて/イラついて)るんだ?」と感情の発露について理由が分からない場合があると思う。そういう親御さんはたぶん、往々にしてその状況に多少なりともストレスを感じているのだと思う。親としてこの子を育て導いてやらなければいけないのに、この子の考えてることが分からなーい!!どうしたらいいの?この映画を観ると、そんな親御さんのストレスが、ちょっと減るんじゃないかな?

個人的感想

自分の頭の中に楽しい世界が広がっていることを想像するだけで楽しいけど、一番楽しめたのは、感情を司るキャラクターたちが、自分やお互いの役割に少しずつ気づいていくところ。

例えば、「カナシミ」という感情は、ネガティブなものとして描かれているし、そもそも悲しみでいっぱいの1日と、喜びでいっぱいの1日を選べと言われれば、私は絶対喜びを選ぶ。出来ることなら、なるべく悲しい気持ちにはなりたくない。

でも、「カナシミ」というキャラクターは頭の中に存在している。「何のために?居ないなら居ないでもいいんじゃない?」

観ている人がみんな、そう思うようなエピソードをいくつか重ねた後に、「カナシミ」自身も気づいていなかった、自分の役割に気づき始める。

これが、自分の頭の中にある固定観念がバラバラに崩れて、全く新しい概念が再構築されるときの気持ち良さ、言ってみれば、絵をひっくり返したり、裏返したりして見たら、全く違う絵柄が現れた時みたいな、心地よい裏切り感を感じられる。アハ!体験っていうのかな?

そうか!だから全ての感情は必要なんだ!喜びだけの人生は、一見魅力的だけど、それだけじゃだめなんだ、ということが、子供にも分かるように平易に表現されているのが好ましかった。

付け加えるなら、私は最近ストレスを感じてイライラした時、なるべくイライラという感情と自分という主体を切り離して考えるようにしている。

私の本質は、イライラそのものではない。何らかの原因があって、私という生き物はイライラという感情と一時的に共存している状態。「自分」と「イライラ」を切り離して考えられると、何故イライラしているのか、どうすればイライラは収まるのか、考えられることが多い(イライラが多すぎて切り離せず、飲み込まれてしまうこともあるけどね)。

頭の中で起きている「いろんな不思議」を考える材料になる、心理学とエンタメと結びつけたおもしろアニメだなと思った。ちょっと知的な香りがします。