おととい観た映画『チャッピー』
久しぶりに映画を観た。
映画館で館内がすうっと暗くなって、映像が始まるまでの短い瞬間が好きだ。ざわざわしていた自分の中もすうっと静かになり、自分からあちこち向いて出ていた矢印が、全部まとまってぎゅっと一つの大きな矢印にまとまり、スクリーンに向かうのを感じる。
おととい観たのは『チャッピー』。
『第9地区』で(少なくとも私にはおおいに)衝撃を与えた、ニール・ブロムカンプ監督の最新作。
この映画を一言でいうと
人工知能を持つ対人用警察官ロボットが、天才エンジニアによって「意識」を与えられ、感情や情動を感じるようになる。ロボットは偶然にもギャングの手に渡り、悪用されようとするが…。
二言になっちゃった。
こんな人にお勧め
劇中の設定は2016年なので、ごく近未来の話。ジャンルという観点ではSF映画にカテゴライズされるのだろうけど、びっくりするようなSFテクノロジー(空中に浮かぶPCのタッチスクリーンとか)や、宇宙船や宇宙人などは出てこない。でも、ロボットやメカなどの造型が好きなひとは、多少なりとも楽しめるのかな(←自分が当てはまらないのでよく分からない)。
もしも私がレンタルビデオ店員なら、この映画をヒューマンドラマのジャンルに入れる。人間じゃないもの(ロボット)を通して間接的に人間を描くやり方は、とても効果的だと思った。
個人的感想
最近、気づくと無意識にこういう類の映画ばかり観ている。
スカーレット・ヨハンソンが最後に真っ黒いスライムみたいになっちゃう『LUCY』。
どの会社にもひとりは似た体型の人がいて、公開時に同僚に「ベイマックス」ってアダ名をつけられる現象が多発したであろう、ディズニーの『ベイマックス』。
共通するそのテーマは、「人間性とは何か?人間が進化するとしたら、どのような進化を遂げるのか?」
生物は環境に適応して進化する生き物で、過去に進化してきた履歴があるなか、人間がこれから進化しない確証はどこにもない。Pixarの『WALL.E』というアニメ映画のなかに出てきた未来の人間は、ロボットが全てをお世話してくれる世界で何もする必要がなくなり、それこそベイマックスのようにふくらみ、体を自力で動かせず、空中に浮かぶベッドみたいなのに乗って移動していた。
人間が今の人間とは違う形態や能力を獲得する時(進化なのか退化なのかはまた別の問題だけど)、それはどういうタイミングで起きるのか?何がきっかけでもたらされるのか?
スピリチュアル系の言葉を使用すると、それは「人類覚醒」とかになるんだけど、そこまで仰々しくならなくても、例えば日本人の最近の若者や子どもが昔の日本人に比べて脚が長い傾向にあるとか、そういうのも概論で言うと含まれるんだと思う。
今の人間が今の人間じゃなくなってくる瞬間というのを、世の中の人の一部はそろそろ来るんじゃないかと予感していて、それでそういう類の映画が増えてきたんじゃないか?それともこのテの映画は昔から連綿と一定量リリースされ続けているけど、私が映画にそれほど詳しくないから、知らないだけなのかな?
余談ですが、チャッピーを誘拐しようとするギャング軍団のリーダーと、その彼女役をやっていたふたりは、南アフリカでは人気のあるラップ・レイヴグループのメンバーだそうです。(グループ名はDie Antwoord。アフリカの言葉で「答え」という意味なんだって)
ちょっと気になるふたりでした。
Never Le Nkemise (With Yo-Landi Vi$$er Vocal)
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また、主役のエンジニアがどこかで見たことあるなあと思ったら『スラムドッグ$ミリオネア』の彼でした。