こないだ観た映画『龍三と七人の子分たち』

北野武監督『龍三と七人の子分たち』を観ました。


北野監督の映画を観るのは、実は初めて。『アウトレイジ』とか、暴力シーンが多いイメージがあって、何となく受け付けなかった。『龍三〜』は予告編ではコミカルな印象があったので、観られるかな?と思い劇場へ。

劇場のお客さんはほぼ(推定)60歳以上。男性1人が目立つ。

この映画を一言でいうと

かつて隆盛を誇った血気盛んな元ヤクザたちの、血の気が多すぎて美しく引退しきれない、引退後の話。

こんな人におすすめ

映画に出てくる登場人物たちと同年代の人、いわゆるシニア世代はもちろんのこと、若い人にもおすすめ!

でも、この映画のかっこよさが理解できないうちは、まあ、まだまだあまちゃんだな!

個人的感想

私はおじいちゃんおばあちゃんが出てくる映画が大好きです。

最高の人生の見つけ方』とか『ウォルター少年と、夏の休日』とか、『スペース・カウボーイ』とか『RED』とか、とにかくやんちゃで可愛い、普通だったら「年甲斐もなく」って眉をひそめられそうな老人が出てくる映画が大好き。

彼らの脳みそには「年寄りがこんなことして大丈夫かな」とか「周りの人に変に思われないかなぁ」というストッパーが全くなくて、年齢性別世間体関係なく「オレはこれをやる!何故なら、オレがやりたいから!」という潔さ、または、客観的に見ると、ある意味悪あがきしてるようにも見える潔くなさがめちゃめちゃかっこいいと思います。

そういう意味で「ジジイが老いという現実を受け入れずに年齢に抗って、めっちゃかっこ悪いけどある意味めっちゃかっこいい」映画のマイベストワンは、『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』です。

機会があったら是非観てください。

燃えよ! じじぃドラゴン 龍虎激闘 スペシャルエディション [DVD]

燃えよ! じじぃドラゴン 龍虎激闘 スペシャルエディション [DVD]


インターネットでよく見かける嫌いな言葉のひとつに「老害」っていうのがあるんだけど、今の日本社会は若さ=正義、老い=無価値とする傾向が強すぎると思います。

でも、そう思ってる人って、もしかして自分だけは年取らないと思ってるのかな?自分だけは年を取っても大丈夫と思ってるのかな?

年をとった人間を価値のないものとして嘲笑したり、邪魔者扱いしたりする人は、将来の自分に唾棄しているのと同じだと何故気付かないんだろう?

微妙な線だけど(そして本編にもそういう役どころの人が出てくるけど)、おじいちゃんおばあちゃんをハナから認知症扱いして、「おじいちゃーん、聞こえるー?お家の人はどこに行ったのかなー?」みたいに話しかけてる若い人も、見ていてモヤモヤしてしまう。自分より下に見てるから、子供に話しかけるような口調になるんだろうか?

「長く生きてるってだけで偉いわけないし、何でも許されるわけじゃない」という人がいるけど、だったら「若いから偉くて何でも許されるわけじゃない」と思います。

いやいや(手を左右に振りながら)。
対等です。

尊敬の念を持って対等に接した上で、イカれた若者やイカれたジジイに出会ったときだけ、牙をむいてもいいと思うのです(節度は大切ですが)。

ある意味、年寄りの悪人と若者の悪人の型破りな激突、という構図の映画でしたが、若者代表で暴走族上がりの詐欺集団をとりまとめる、スーツにメガネのインテリ風味をちらつかせる会社社長役を安田顕さんが演じていました。

f:id:snowflakesonnose:20150502125357j:image

水曜どうでしょうファンにはおなじみの俳優さんです。

昔はonちゃんの着ぐるみを着せられて、しばれる冬の北海道でワカサギ釣り対決したりしてたのに、出世したなあ…。

本作では腹立つ感じのインテリヤクザな悪役ぶりでしたが、安田顕さんのキャラクターを知らない方のために、彼の人となりを知ることのできる「水曜どうでしょう」の一部をyoutubeで見つけましたので、リンクを貼らせていただきました。気が向いたらご覧ください。(食事中の方はご遠慮ください)







(ちょっとネタバレ)
本作で一番好きなセリフは北野武扮する刑事が言う「全員逮捕!」でした。