異常な愛情
obssession
1【不可算名詞】 取りつくこと,取りつかれていること 〔about,with〕.
最近の私を英単語ひとつで表すとしたら、この言葉が一番しっくりくる。
果物にとりつかれている。
今年の夏、私は桃にとりつかれた。
毎日のように桃を買い、毎日食べていた。基本は朝食べていたけど、慌ただしくて食べられないときは、夜帰ってきてからおもむろに食べていた。帰りが遅くなってスーパーに寄れないときのために買い溜めしていた。
もともと、すいかが大好きなので、ここ数年、夏にスーパーに行ったら必ずすいかを買うのが習慣になっていた。一人暮らしなので、丸ごと1個のすいかを食べきれる自信がなく、いつもカットすいかを買っていた。それに加えて今年の夏は桃も買っていたから、私の食費は半分が果物だった。
桃の季節も終わったいま、解放されたかといえば、いまはシャインマスカットに束縛されている。一房1,000円くらいするめっちゃ高いぶどう。高すぎるよ!でも美味しいんだよちくしょう!皮ごと食べられて種無しなんだよ!
昨日ちょっとお高めのスーパーに行ったら、一房1980円のシャインマスカットが売っていて、ひとしきり悩んでやめた。あと5分で閉店じゃなければ、迷った挙句に買ったかもしれない。いや今日これから買いに行くかもしれない。
果物に踊らされる夏、からの、秋。
でも美味しいんだよね!くー。
満月
今年の中秋の名月は9/27。でも満月は今日の9/28。あれ?中秋の名月って満月じゃないんだっけ?と思って調べたら、中秋の名月は旧暦の8/15のことで、必ずしも満月の日に当たるとは限らないんだそうです。
中秋の名月2015年はいつ?満月は見られる?由来と意味。行事食とは
そして今宵の満月はスーパームーン。いつものお月様より明るくて大きい。
満月に向かってお財布を振ると、お金持ちになれるというおまじないも有名ですね。ちっとも効果は表れないけど、気づいた時には私もなんとなくやっています。
満月で私が思い出すのは、原田康子さんの小説です。
満月の夜に、突然江戸時代から現代の札幌(と言っても本が出たのが一昔前なのでちょっと時代を感じるけど)にタイムスリップしてきた弘前藩の侍が、学校教師のまりと、その祖母の家に居候を始めるちょっとだけファンタジー小説。
この本で、中秋の名月に里芋を食べる風習があることとか、きぬかつぎという言葉とかを覚えました。
大昔の侍である杉坂小弥太と、いまを生きるまりの行き場のない恋愛が読みどころのひとつ。残してきた過去には妻子もあり、戻れるかどうかもわからない状況でまりに惹かれていく小弥太と、いつ消えてしまうかもわからないサムライに惹かれていくまりの心情が細やかに描かれていて、最初から終わりが見えているふたりの恋愛に、たぶん高校生くらいの時に初めて読んだのですが、泣けて泣けてしょうがなかったのを覚えています。
結婚は、理性的に選択することができるかもしれないけど、恋愛って、頭でロジカルにするものじゃないんだなというのを、この本で学びました。私の恋愛観の原点はこの本にあると思っています。だからか…(ため息)。
今夜は満月を眺めながら、世の中のすべての恋する人たちがしあわせになるように、祈っています。私も含めてだけどな!
先日観た映画『キングスマン』
予告編が最高に面白そうで、「絶対観よう」と決めていた作品。あまりに期待ばかりが膨らんでいくので、期待だけ上回ってしまったら、と少し心配だったが、杞憂だった。
↑思い切り007のパロディ的なポスター。
この作品を一言でいうと
王道スパイアクションをキワモノギリギリのところで映画化した、コリン・ファース主演作品。
こんな人におすすめ
下記のキーワードにビビっとくる人
-ブリット・ポップ
‐英国紳士
‐スパイ映画
‐『キック・アス』
‐ユーモア(特にイギリスの)
個人的感想
世の中にスパイ映画は数多くある。『ミッション:インポッシブル』シリーズしかり、『007』シリーズしかり、それ以外にもたくさんのスパイ映画やTVシリーズがかつて作られてきた。
多くのスパイをモチーフにした作品が世に出され、なおすたれずに新しく作られ続けるのは、そのモチーフが派手なアクションなどと親和性が高いため絵になりやすく、人々に受け入れられやすいというのもひとつあるが、生き残っているそれぞれの映画に魅力の違う主役が配され、また異なる見どころがあるからだと思う。
『ミッション:インポッシブル』はイーサン・ハントをトム・クルーズが演じ、その超人と言っても過言ではないアクションの連続花火に目が釘付けになるからだし、『007』シリーズはジェームズ・ボンドというキャラクターは演じる人が変わっても生き残っていけるほど完成度が高い(それぞれの俳優で評価が分かれるのは、個人的な趣味があるからしかたないにしても)。
じゃあこの『キングスマン』がどんな見どころがあるのかというと、個人的には英国のユーモアだと思う。
階級社会に生きることを余儀なくされ(生まれた時から持てる者と持たざる者とに分断された社会)るイギリス人は、それぞれのサイドから描いた映画がいくつも作られているけれど、キングスマンに出てくる諜報機関を構成するメンバーは、持てる者(貴族階級)のほうにカテゴライズされている。強烈な選民意識を持ち、プライドが高く、他人にも厳しいが、自分にも厳しい。「自分は選ばれた者」という意識がある分、その特権を得る者の義務として、その分の責務(Do good)を果たすべきというのがNoblesse Obligeだ。
自分を律する術として、イギリス人が好むのがユーモアだ。うろ覚えだが、イギリス人のユーモアを端的に表した小話でこんなものがある。
あるイギリスの大学教授が、共にサイクリングを楽しんだ愛弟子の、先の世界大戦での戦死の報を受けたとき、驚くでもなく、嘆き悲しむでもなく、淡々と「これで、イギリスに余計な自転車がひとつ増えた」と言ったという。
ユーモアは現在では「笑い」と結び付けられて全体認識されていることがほとんどなので、「これ、笑えないけど」と思う人も多いかもしれないが、元来のユーモアは(説明が長くなるので割愛するが)「感情の動き」という意味をもつ言葉である。イギリス人のユーモアとは自衛手段として使われている感情の動きで、時に感情的になりそうな自分を律して、客観的に自分を俯瞰して眺めることで逆上しそうになる自分を抑えるための手段なのだ。
事実、この映画の中にもコリン・ファース扮する主役のハリーが「I've had a rather emotional day」と言いながら、非常にスタイリッシュに街のチンピラに制裁を下すシーンがあるが、イギリス人(の貴族階級)は、取り乱し、感情をあらわにすることを非常に嫌う。どんな状況でも冷静沈着で、常に理性的であることを美と思っている人種なので、感情が揺り動かされたとしても、それを表に出すのはカッコ悪いと思っているのだ。
ある意味、自分から自分を突き放して、「そんなことで動揺してどうする」と叱咤激励するためのツールがユーモアなのだと言える。
でも、そんなクールさを信条とする英国紳士のハリーが、詳細は観てからのお楽しみということで伏せるが、一回だけ他人にコントロールされてものすごい表情を見せるシーンがある。↓
英国紳士もビックリ
多分、彼の一生の恥になるんだろうなと思う。そんなところも分かったうえであえて役柄のカッコ悪いシーンも入れる作り手の客観性が、たまらなくカッコ良いなあと思う映画だった。
『マイ・フェア・レディ』でも描かれた二つの階級のあいだの超えざる壁と、庶民階級から特権階級へのステップアップ、イギリス紳士の独特のメンタリティ、それに加えてサミュエル・L・ジャクソンが好演したアメリカの頭悪そうなIT長者に象徴される戯画化されたアメリカ人への痛烈な風刺、それらがエンターテイメントとして楽しめる作品だなと思った。
こないだ観た映画『しあわせへの回り道』
砂に水がしみこんでいく様子を観察したことがあるだろうか?海辺でもなんでもいいんだけど、砂地に水がしみこんでいくときって、最初水たまりだったのに、水たまりがどんどん小さくなって、最後に消えてしまう。真夏日なんかだと、表面はすぐに乾いてしまう。だけど、掘るとまたじんわり水はしみ出してくる。
『しあわせへの回り道』はそんな映画だった。
この映画を一言でいうと
長年連れ添った夫と、青天の霹靂の夫の浮気告白により離婚することになったニューヨークに住む人気書評家の女性が、行動範囲を広げようと自動車免許を取るべくインド系アメリカ人に運転を習い始め、運転技術とともに無意識のうちに人生の操縦術も学んでいく話。
こんな人におすすめ
100%ほのぼのハートウォーミングな映画ではなく、ちょっとほろ苦いリアリティのある、「生きること」を映画で観たい人。
個人的感想
何かを始めるのに遅すぎることはない、やってみなはれ、とは職場の先輩の名言だ(誰かからの受け売りかもしれないけど、私は関西弁が誰よりも濃いその先輩から聞いて、砂浜に水がしみこむようにその言葉が腹に落ちた)。
成功する人は脳みそにストッパーがないという。もちろん、脳みそにストッパーがない人が全員成功するわけではないけど、成功する人は往々にして「私はもう年だし」「こんなこと始めても何にもならないかも」と頭の中でストッパーを作動させずに、「よしやってみよう」とすぐに思える人なんだそうだ。
この映画の主人公は、「私なんて」「うまくいかないかもしれない」「失敗したらどうしよう」と、ストッパーをかけまくる女性。観ているこっちがちょっとイラつくくらい、あーでもないこーでもないとやらない言い訳を考えている。
でも、そんな彼女がだんだん愛おしくなってくるのを感じた。その姿は、普段の自分の姿そのままだし、考えている内容は普段の自分が考えていることにそっくりだからだ。
ちょうど「これをやりたいけど、これのせいで出来ない」とうまくいかない人生を自分以外のせいにして、やらない理由だけを考えるのがうまくなっていく自分に嫌気がさしてきたところだった。
車の運転で言えば、「地震が起きて目の前の道路が割れて割れ目に落っこちてしまうかもしれないから運転できません」とエンジンをかけないでいるような自分に、この映画の主人公はとってもみっともなく、そして愛おしく思えた。
そんな彼女にあくまで理性的に、論理的に寄り添い、根気強く運転を教えるタクシー運転手とドライブレッスンの先生を掛け持ちするインド系の男性を、『ガンジー』のベン・キングスレーが演じている。シーク教徒のため、ターバンを着用しており、そのせいで街中とかで突然いわれのない差別(そもそも差別にいわれなんてないのだけど)を受けることもしばしばだけど、あくまで理知的にやり過ごす術を身につけているのが少しもの悲しい。
自分の伝統と文化と宗教に誇りを持ち、毎日をつつましく生きる彼が、親戚の勧めで会ったこともない女性をインドからお嫁さんとして迎え、共同生活を始めるが、知らない人同士ゆえに様々なギクシャクが生じて戸惑う描写も興味深い。同じ人種なのに、住む環境が違ってきたがゆえに分かり合えないこともあるけど、それを乗り越えて理解し合おうと努力する姿がいじらしい。
まるっとハッピーエンドで終わらず、「人生というドライブは、それぞれの人にまだまだ残されている」という含みを残して終わるところも、余韻を楽しみながらエンドクレジットを追える良い点だった。
砂に水がしみこむように、徐々に自分の中に余韻が蓄えられていって、気づくと映画が自分の中で栄養になっている。そんな映画だった。
先週観た映画『ヴィンセントが教えてくれたこと』
ビル・マーレイの主演作を観ました。
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『ザ・ロイヤルテネンバウムス』『ロスト・イン・トランスレーション』『グランド・ブタペスト・ホテル』など、エッジの効いたイマドキの作品に次々と出演している名優さん。
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一回りまわって、今、トレンドが来てる感じなのか、純粋に演技力を評価されてるのかは私にはわかりませんが、とにかく映画の中でも、主役ではないけどとにかく味のある役どころにキャスティングされる俳優さんです。日本人の俳優で言えば、柄本明?という話を映画愛がすごい先輩と話していましたが、後で蟹江敬三さんとかもそうかなあと思いました。
この映画を一言でいうと
偏屈で性格が悪く、乱れまくった極貧生活を送る老人、ヴィンセントのボロ家の隣に引っ越してきたシングルマザーとその息子が、ひょんなことからヴィンセントとの交流を始め、次第にお互いの中で存在が大きくなっていくお話。
一言でいうと、「暗くない『グラン・トリノ』」かな。
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こんな人におすすめ
映画を観てほっこりした気持ちになりたい気分の方に、ぜひ。
実は、個人的にほっこりという単語があまり好きじゃないんですが(複雑な感情のというか、繊細な心の機微を表すのに雑な感じがするから)、悔しいけどその単語が、この作品にはいちばんぴったりかなあと思います。
例えて言うなら、上京して一人暮らしで頑張ってる若者が、地方の実家から野菜やらカップラーメンやら段ボールにぎっしり入った荷物が届いた、と思ったら、中に添えられてる親からの手紙にヘッタクソなイラストが描いてあって、「何が描きたかったんだよ一体」とひとしきり笑った後、一生懸命背中を丸めて描いてる後ろ姿を想像しているうちに、じんわり涙ぐんでしまう。そんなときの感情に似ています(長い)
個人的感想
ナオミ・ワッツが予想外にいい演技だった!ロシア人の娼婦役なんですが、ロシア訛り完璧だし、ちょっと荒れてる肌作りも完璧。ハリウッドの人たちはみんな努力が半端ない。
もともとおじいちゃんやおばあちゃんが出てくる映画が大好きで、もし自分がレンタルビデオ店のアルバイトだったら、おじいちゃんおばあちゃんが出てくる映画コーナーを作りたいくらい好きなので、おじいちゃんおばあちゃん映画については人よりちょっとだけ多く観ていると思います。本作に関しては、その中ではとても直球な作品だと思います。
作品の中で、ヴィンセントという人間を形作ってきたさまざまな事柄が大きなことから小さなことまで、少しずつ明らかになっていくのですが、それらがことごとく愛おしく感じられる映画でした。
エンドクレジットの間流れる曲はボブ・ディランの「シェルター・フロム・ザ・ストーム」。
生きてて出逢うつらいことや切ないこと、それらを乗り越えて出会える小さなしあわせが、悲しみからの安全な隠れ家(シェルター)になるんだろうなと思います。
しあわせになれる映画です。
先日観た映画『テッド2』
『テッド2』を観た。お下品で笑える映画が大好きで、『テッド』ももれなく笑い転げたので、続編を楽しみにしていた。
この映画を一言でいうと
ひょんなことから人格を持ったテディベア、テッド。見た目は無垢なぬいぐるみ、なのに中身は完全に(そしてわりと下品な)おっさん。ぬいぐるみなのに、iPhone使いこなしたりする。そんなテッドが普通の人間として人権を求める話。
こんな人におすすめ
コメディ好き。ギャグの内容がアメリカンなので、アメリカ文化にある程度理解がある人。前作よりも、アメリカン色が強いです。例えばマリファナ畑を見て感涙するとか、日本人にとって、「知らない世界だなあ」と感じる内容も。また、アメリカ人なら誰でも知ってる芸能人がたくさん出演してたりするけど、日本人だからピンとこなかったり。例えば、映画にみのもんたが出てきて自分の謝罪会見をパロディにしちゃうと、日本人は背景を知ってるから笑えるけど外国の人はなんだこのおっさん、となりますよね。そんな感じだと思います。
また、意外な人物がパロディ出演したりもしてるので、映画好きは楽しめると思います。
個人的感想
ぬいぐるみに人権を与えるかどうかを真剣に裁判所で討議する場面は結構シュールだったけど、話に入り込むにつれてだんだん前のめりになってきた。
ど根性ガエルに設定が似てると思ったけど、テッドとぴょん吉の違いは、ぴょん吉はしゃべれるけどTシャツから出られない一方、テッドは自分の意思で歩けるし、車も運転できるし(技術には難ありだけど)、人間の女性と結婚だってしちゃう(何なら子供を作ろうとしちゃう)。
本日のご神託
Have wisdom in your actions and faith in your merits.
meritというのは、日本語にもメリットとある通り、「価値」「利点」「得すること」みたいな意味しか知らなくて、上の文を読んで「?」となったんだけど辞書で調べたら「長所、美点」という意味もあるそうです。
だから、日本語にするなら
自分の行動にwisdom(ここでは分別が良いかな)を持ち、自分の美点に信念を持て。
というような感じになるのかな。
行動には分別を持って謙虚に、でも自分の良いところは謙虚にならずに、誇りを持て、という意味に読めました。
「私はすごい!」「私はすごい!!」と、行動ばかり誇り高い人よりも、普段の言動は謙虚だけど、心の奥に、一本の槍を持っているかのように、誰に認めてもらわなくても、自分はこんな良いところがあるという矜持を胸に生きている人の方がかっこいいなと思います。