今日観た映画『おみおくりの作法』

ひとことでいうと

人の死をモチーフにしながら、実は人の生について描いた映画。

幼稚園の頃、お絵描きの時間に画用紙にクレヨンでたくさんの色を隙間なく塗ってから、上から黒いクレヨンで塗りつぶしてね、と先生に教えてもらい、そのあと割り箸かなんかで表面の黒を削ったら、下から割り箸に沿って虹色のラインが現れ、感動した時の気持ちを思い出した。(二言だった)

こんな人におすすめ

この映画の題材は生死に関わる普遍的なテーマなので、全年代の人にお勧めできる内容だけど、ある程度人生を生きて、これから終活始めますとか、人生の折り返し地点が近づいてるんだなとか、そんな年代の人の方が、描かれている内容をより味わい深く噛みしめることができるかもしれない。若い人は「なるほど歳をとるとそういうこともあるんだなー」的に観ても楽しめそうです。

付け加えるなら、「見えるものしか信じない」主義の人は、楽しめないかもしれない。愛も、優しさも、思いやりも、目には見えないし、手にとって触ったりは出来ないけど、存在します。

個人的な感想

銭湯によく行く。
最近顔なじみになったおばあちゃんがいて、私が行くとたいてい上がるところで、脱衣所でモビルスーツみたいなコルセットを身につけている。

今日は寒いですね、とか、今日はわりとあったかいですね、とか他愛ない会話を交わすだけなのだが、そのおばあちゃんがたまたまいないと、なんだか寂しい。

私も毎日行くわけではないのだし、おばあちゃんも毎日は行ってないだろうけど、偶然会えない日が2回続いたりすると、おばあちゃん大丈夫かなぁ、腰痛いのかなあと考えたりする。

住んでるおうちも知らないし、連絡先も名前も知らないし、たぶん銭湯以外の場所、たとえば駅とか商店街とかですれ違っても気づかないだろうなって思うのに、ひとりのおばあちゃんの存在が大きくなっている。

私は自分が年老いて、この世を去る時に、そんな知らない誰かにそんな風に思ってもらえるかなぁ、と思う。