今日の教訓「踊るように生きる」

最近読んだ本に、「ダンスをするように生きる」と書いてあった。

過去に起こった(けど、今はもう起きていない)ことや、未来に起きるかもしれない(けど、今はまだ起きていない)ことを頭の中から追い出して、今、ここで起きていることだけに集中する。

それは、つまり踊りに例えれば、さっき踏み間違えたステップを反芻したり、これから動く複雑な振り付けに気を取られたりすることなく、今、自分の踊っているダンスにだけ、注意を払うということ。

自分の人生から、「あの時こう言えば良かった」とか、「今度こういうことがあったらこうしよう」と考える時間を極力排除して、今自分がここでやっていることだけに力を注ごうってことなんだと思う。

自分の人生からできるだけ、「今じゃないこと」をなくしていけば、人生はシンプルに豊かになるのだそうだ。

なるほどなー、と思うけど、悟りを開いてもいないただの凡人だから、気づくと考えている。「あの時、ほんとはあの人は私に好きと言いつつ、彼女のことを好きだったんじゃないかな」「私には秘密にしてるけど、本当は今も続いてるんじゃないのかな」そんなことを考えて、シャワーの音にかき消されることをいいことに、浴室で泣いたりする。泣き疲れて気づくとじゅうたんの上で寒くて目を覚ましたりする。

闇のなかで目を凝らすと、ハンガーにかけた服が幽霊に見えるように、自分の中で膨らんだ猜疑心が、私の視界を歪ませて、目の前にはないものの存在を信じさせようとする。

悟りは開いてないけど、幸せになりたい私は、背後から忍び寄る冷たい気配には背を向けたまま、ただ、今、目の前に差し出されたあたたかい手のひらだけを信じる。

それは、自分に目隠ししていることになるのだろうか?きっと、答えはどこでもない、自分の中にある。