SHUNGA 春画展に行った

日本初、と言われる春画展に行った。


欧米では希少なアート作品としてもてはやされる日本の春画が、お膝元日本の美術館では軒並み「意義は理解できますが、そういうのは、ウチではちょっと…」と拒絶され、今回椿山荘の裏手にある永青文庫で開催の運びとなったそうな。

行ってみたら幅広い年齢層のものすごい人出で、初詣の明治神宮のように入場制限までしており、これ、「ウチはちょっと」と拒否った美術館は歯噛みして悔しがってるんだろうなーと下世話なことを思う。

春画自体はそんなに興味がなかったけど、お着物とか当時の小道具が美しそうだなと思ったのと、日本初!というミーハー心を刺激される点のみで、入場制限の長い列を15分くらい待った。

若いカップルが目立つが、なかにはわりとご年配だけどまだまだ現役感漂う、ねっとりした空気をまとった熟年カップルも多くて、一緒に行った先輩は「今夜、東京各地ですごそうだね」とまた下世話なことを言う。笑い転げる私も相当品がない。アートを見に来たはずなのに。反省。あとは美大生ぽい見た目の若者とか、こじらせ女子とか、あと外国人も目立った。男性一人で回っている人も思ったより多かった。

話は変わるが、電車の中でスポーツ新聞のエロいページを読んでるサラリーマンを見るたびに思うんだけど、そういうページ読んでも身体に変化はないんだろうか?公共の場で身体の一部分を大きくしてしまうという、わりとピンチに陥りそうな気がするんだけど、男性は一流のサラリーマンともなれば、身体の一部分の血流コントロールくらい、サラッとできるものなのかもしれない。春画展を見ていて、「これ見てて、男の人は普通に大きくなって困らないのかな」と思った流れでそんなことを考えていた。下世話から抜け出せない。反省。

言ってみれば全部性行為の模写。その絵画をどのようにバリエーションづけるか、また、見る者をあっと言わせるかの苦心の道のりが見て取れて、面白い展示だった。現代で言うと、細分化され続けて新たな面を模索し続ける、アダルトビデオの発展に重なると思った。(と偉そうに語れるほどアダルトビデオ業界には明るくない)今はビデオオンデマンドで家にいながらにしてアダルト動画を見ることができるけど、昔の人は版画一枚を手に、ありとあらゆる想像力を総動員していたんだろうなぁと思うと、豊かさの定義について再考せずにはいられない。

個人的には、着付けを習っているので、版画に表現された着物の柄あわせや色あわせの斬新さに学ぶところは大きかった。300年の間、その色彩が色褪せずに保存されてきたことにも感心。

人間の本質は変わらない。インターネットの浸透も、一説にはエロ動画を見たい人が多かったからだと聞く。春画によって日本の芸術や版画技術が研ぎ澄まされ、発展したのは厳然とした事実だ。

やっぱり日本人は職人の技を匠の技まで昇華することを得意とする技術立国であると同時に、英語だと「erotic picture」「pornography」といった平易な表現しかないエロ絵画を「春画」というなんとも雅なネーミングで表す、稀有な文化を持つ国であるなぁ。