最近観た映画『セッション』

予告編を見る限りでは、何だか『ブラックスワン』のように心理的に痛い(例えて言うなら黒板に爪を立てる音を聞かされるみたいな)映画に思えて敬遠していたけど、周りの人がみんないいと言うので、自分で確かめてみようと思って観た。

 
結果、観てよかった。
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史上最高に怖い壁ドン
 

この映画を一言でいうと

ドラムスを極めるために希望に溢れて音大に入った少年が、憧れのエリートバンドに入る文系スポ根映画。
 

こんな人におすすめ

巨人の星が好きな人。狂気と紙一重の心理描写を好む人。また、ラストが爽快なので、映画を観たあと、あー気持ちよかった!って言いたい気分の時におすすめです。
 
とにかく緊張感がハンパなく、観終わったあとぐったり疲れる映画なので、「今夜はぐっすり寝たい」という日に観るとよく眠れます。
 

個人的感想

私は何事も極めたことがなく、全てに中途半端だ(昨日も、仕事仲間に「抜群に可愛いってわけじゃなくて、中途半端に可愛い」と言われてひそかに傷ついたばかりだ。なんだよそれ)。
 
誇れるものは、何もない。あるとしたら唯一友人に恵まれていることかな。
 
この映画を観て感じたのは圧倒的な焦り。ひとつのことを極めるのに、これだけの努力が必要なんだ、という思いが、ぬるい感じで何となくやってる自分を反省するきっかけになった。そういう意味で、中学生や高校生などの若者が観るといいかもしれない。
 
好きだったはずの何かが、だんだん嫌いになってきたり、得意だったはずの何かがちっとも得意に思えなくなったりする瞬間というのは私にも記憶があって、私の場合はそこで飽きたりやめちゃったりしていた。
 
ラスト10分弱のシーンに主人公に訪れる、「そこを突き抜けるとまた違う景色」が見えてくることを信じて、私も自分を鍛えようと思える映画でした。
 
先生役のJ.K.シモンズはテレビドラマ「クローザー」のデカ長役(太陽にほえろで言うなら石原裕次郎)でいい味を出していたけど、映画にもたくさん出ている。
 
本作での鬼気迫る演技は圧巻だった。ターミネーターにもチョイ役で出てきたけど、幅の広い役者さんだな。
 
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原題のWhiplashは作中で演奏される曲名ですが、「むち打ち」という意味もあります。まさに!