こないだ観た映画『ジョーカー・ゲーム』

(ちょっとネタバレしています)

原作が面白かった記憶があるので、観に行った。ちなみに原作を読んだのははるか昔(本が発売されて半年くらいで読んだはずなので、おそらく四年前くらい)なので、細かいことは覚えていない。

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)


映画は、次の理由で納得がいかなかった。

  • ヒロインが不要に思える(映画として成立させるためにヒロインは必要!っていう形式論から入れたように思える)
  • 主役が目立ち過ぎだしカッコよく描かれ過ぎていて、観てて痒くなる
  • 往年のスパイ映画、アクション映画を意識し過ぎている
  • 誰も信じられないという、刃の上を歩くみたいな、鏡に鏡を合わせたときみたいな背筋が冷たくなる緊張感が原作にはあったはずなのに、最後はちょっと小粋な「仲間っていいな」風で終わっている。
全編を通じて、作り手が「俺らのコレ、かっこいい映画だろ?」とニヤニヤしながら作っている顔が思い浮かんできちゃって、それがほんとにかっこいいと私が思える映画だったら好意的に観られるんだけど、全体的に(言葉を選ばずにいうと)ダサい感じの印象を受ける映画だったので、こそばゆくなるというか、「あちゃー!」って叫びたくなるというか、観ているこっちがこっ恥ずかしくなる映画だった。

翻って、かっこいい、カッコ悪いってどこで分かれるんだろうと考えた。

カッコ悪さを気にせずに、やりたいことを真剣にやるのはかっこいいなと思う。

さほど余裕がないのに、余裕がある振りをするのはカッコ悪い。カッコ悪さとカッコ良さの境界線は、本当に余裕があるか、余裕があるふりをするかにかかっているのかもしれない。

そう考えると、私にとってカッコいい人とは、見た目ではなくて人生に真摯に向き合っているかどうかだなあと思った。

どんなにかっこいい台詞を吐いても、どんなに見た目がシュッとしてても、お洒落な着こなしをしてても、いい加減に生きてる人はダサさが顔に出る。逆に、どんなに見た目がアレでも、挙動不審でも、自分のやりたいことに向き合って生きている人はかっこいい。

「カッコいいとは、こういうことさ。」というキャッチコピーの映画が昔あったけれど、この映画を作った人たちには『紅の豚』を観て、客観的なカッコ良さについて学んで欲しいと思う。

紅の豚 [DVD]

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というのが、正直な感想。もちろん亀梨くんはアクションをこなしているし、亀梨くんファンの方には満足度の高い映画だとは思う。伊勢谷友介の演技も良かったと思う。たまたま、私好みの映画ではなかったけど、この映画を好きな人もこの世にきっといるはず。全ての人に受ける映画っていうのはなかなかない。いや、むしろないかも。どんな映画でも「すき!」っていう人と、「この映画はちょっと」っていう人が存在する気がする。そこが、映画の面白いところだな。