自分はどこに属する人間なのか

旅に出るとき、出発前の慌ただしい時間の最中に、私はいつも切なくなる。

それが日帰りとかだったら別にいいんだけど、泊まりで、しかも飛行機乗って、ましてや海外だったりすると更に切なさは増す。

たぶん、未知への漠然とした恐怖と日常への惜別がないまぜになっているんだと思う。それだけ、しあわせな暮らしをしてるってことなんだろうな。

旅に出ていつも感じるのは、「自分が属しているのはここじゃない感」だ。帰る場所があるから、今ここにいるという宙ぶらりんな感じ。どんなに美しい景色を見ても、どんなにあたたかい人に巡り合っても、自分のいる場所は別にあって、たまたま一時期だけここにいる上でそれらの邂逅を味わっている、という気持ちがどうしても拭えない。かと言って、自分は日本でしか生きていけないとも思わないんだけど。

子供の頃から親の転勤にくっついてまわったから、どんなに旅先の土地や人々が好きになっても、いつかは別れることになるんだっていう前提を、自分の中に刷り込んでいるのかもしれない。

もうひとつ、私は飛行機が怖い。平気な顔して乗っているけど、いつも離陸着陸の時に緊張するし、毎回乗るたびに、この飛行機が落ちたら死んじゃうんだな、と思って、部屋の中の人に見られたら困るものを捨てたりする。そして大好きな人たちに会えなくなるんだなーと思ったりする。

そんなわけで、今私は猛烈に切ない。能天気な音楽を聴いて無理やり気持ちをあげている。

結論としては、私はこれからインドに行きます。