ツツジ雑感

42階から見下ろす。足のすくむような光景の隅っこに、小さいピンクを見つけた。

雨が降っているので、小さい女の子が傘でもさしてるのかなと思って目を凝らしたら、植栽のツツジが咲いていたのだった。一面灰色のなかに、ぽつんと場違いにあるピンク色。

同じ風景を見ても、目を付けるポイントは人によって違う。人によっては高さに目を奪われ、世界の支配者になった気分を味わうだろうし、さらに上を見上げて、雲が近いという人もいた。

私は地面を見る。地面の小さいポイントを見つけて嬉しくなる。

もしかして、普通は見えない霊が見えるという人も、同じ景色を見ていて、ただ単に世界の着目するポイントが違うだけなのかもしれないな。

今日もツツジが満開。
この季節は緑が萌え始めて、草の匂いが漂い始める。鼻の奥がキュッとなる匂い。小さい頃からこの匂いをうまく表現できなくて、人に伝えられなかった。鼻の奥がキュッとする、しか言い表しようがなかった。

この匂いをうまく表現できるようになったら、もう少し大人になれる気がするな。