母との関係性

この週末、有休をとって母と一泊旅行に行った。母の行きつけのお店のお客様感謝ツアーに参加させてもらうというのが旅行の概要で、従って25名の年配女性の中に最年少は40歳の私という不思議な構成の旅行体制だった。

この旅で、母との関係性について改めて考えさせられるきっかけを与えられたと思う。

終始イライラ、もしくはハラハラさせられる旅だった。その原因はひとえに母の社会性の欠如にほかならない。

母は、娘の私から贔屓目大有りで見ても、人間関係の構築が下手だ。小さい頃から、母の、いったんは仲良くなった人たちに対して「あの人嫌い。神経逆なでするようなことを言うから。」という言葉を聞いて育って、「大人っていろいろ大変なんだな」と思っていたが、今改めて考えると、大変だったのはむしろ母の周りの人たちの方で、「あなたとは付き合いきれない」という友人からのごくまっとうな最後通牒をつきつけられても、自分の何がいけなかったのかを学べてなかった母の「何か周りの人たちが感じ悪い!」というフラストレーションが上記のセリフに多分象徴されていたのだと、今なら理解できる。こんなことは母には絶対に言えないけれど、圧倒的に「こういうことをこういう風に言ったら相手がどう捉えるか」という想像力が母には足りない。

◾︎旅行を企画し、幹事をしてくれた人に向かって「準備とか大変だったでしょ。えらいわね。でもあなたそういうこと好きなんだもんね。私、次は京都に桜を見に行きたいの。企画してね」と言う。

◾︎耳が遠いので、人の話を何回も聞き返す。聞き返して理解した内容について、何の返答もしない。聞き返されるので、最初から大きな声で話しかけると「そんなに怒って言わないで」と傷つく。

◾︎親切心で、解散場所から車で送ってくれるという人に対して、ろくにお礼も言わずに「またねー!」と挨拶をして帰ろうとする。ちゃんと頭を下げてお礼を言わなきゃ、と言うと「いいのいいの、さっき送ってくれるお礼のお菓子は渡したかんだから」とつっぱねる。

母がもし私と同年代で、血縁関係がなかったら、まず間違いなく私は付き合いを避けるだろう。一緒にいて心地よくないし、腹立たしいとおもうことさえある。それが気になって、こういう時はこうした方がいいよ、と忠告しても、馬耳東風で受け流す。いいのよ、あの人のことはあなたより私の方が付き合い長いんだからわかってるって。

母が「この人は気持ちのいい人だから好き」という人のタイプは決まっていて、穏やかで優しくて、人に気を遣い、あまり強いことを言わない人だ。そういう人は、母のわがままにも取れる行動を許容してくれるから、本人も居心地がいいらしい。相手に対して自分が負担を強いているのを理解していない。そういう人と付き合い、気付くと「最近忙しいらしくて、疎遠なの」と相手が意識して離れて行っていることを認識していない。

多分母のそばに母と同じ性格の人間がいたら、母は大嫌いになるだろう。人から与えられるネガティブな念にはとことん敏感なのだ。母はもしかして、今はやりのアスペルガー症候群なのかもしれないと思う。

私の目下の悩みは、このような母と付き合って行くにはどうしたらいいかということだ。肉親なので付き合いを絶つわけにはいかないけど、一緒にいると本当にイライラしてしまい、母にはその苛立ちを抑えきれずにぶつけてしまう。結果、母を傷つけ、心ない暴言を母から受け、私自身も傷つくけど、その怒りと悲しみのやり場がどこにもない。

肉親だからやり過ごすことができない。人を変えることは出来ないから、今の母のままで付き合っていくのに、最小限のカロリーでやっていく方法を模索中。私自身が悟れればいいのだけど、なかなか道は遠い。